生きるチカラ。
理屈じゃない。
俺はこの数日間、膝の痛みに苦しまされていた。
誰に泣き言しても、治るわけじゃない。
脂汗を垂らしながら、猫の世話をしていた。
時折、膝が意図せずに曲がってしまって、奇声を上げたりしてた。
そうこうしているうちに、膝がぷっくりと真っ赤に腫れてきた。
やがて、全身が発熱してきた。
熱くて喉が渇く。なのに汗が出ない。
だから水分を取るとトイレに行くことになる。2時間おきに目覚めて、片足と両腕の力だけで階段を降りて、用を足して、また登るという苦行。
そうこうしているうちに、左肩にも痛みが出てきた。
膝と肩から、じわじわと、固くて冷たいしこりのようなものが、侵食してくる感じ。
極めて理論的な僕は(冗談だけど冗談ではない)、これを呪いであると判断した。
今回はじめてのことではない。
そして、Nの声が出なくなった。
Nは僕の使い魔である。これは異常事態だ。
どこかから、式鬼が送られてきている。
この冷たいしこりが心臓まで達したら、また発作を起こすことになる。
なんとしてもそれは避けたい。
久しぶりに儀式をはじめた。
防御の式、反射の式、浄化の式。
そして攻撃元を特定する式。
なんと複数からだ。道理でなかなか特定できなかったわけだ。
満月。
すべての辻褄が通った。
銀の刀を。
患部に塩をすり込むと、痛みが引いてくる。
めったに口にしないロキソニンを使う。
痛みが引けば乗り越えられるということは、身体が致命的な異常を発しているのではない。
キーワードは他人の甘えと依存だ。
いい加減にしてくれ。
こうやって全て、熨斗をつけてお返しすることになってしまう。
怒らせちゃいけない人を怒らせたって?
バカも休み休み言ってくれ。
刺激しちゃいけない相手を刺激しているのは、そっちだ。
僕の言葉で「生きる」ことに誠実になれない連中もそうだ。
すべて本人に帰ってくるぞ。

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